風立ちぬ


 宮崎駿の原作・脚本・監督の「風立ちぬ」を観ました。
 物語は、零戦の設計者堀越二郎の半生を描いています。
 飛行機は美しい夢、夢に向かってひたむきに生きる主人公を淡々と描いています。
 堀辰雄の「風立ちぬ いざ生きめやも」と訳した文学の中の菜穂子。菜穂子との出会い、結婚、別れを描きます。
 今までの宮崎作品と較べ、ファンタジー的要素を抑え、現実感のあるストーリーを美しい画像で伝えてくれます。
 戦争の悲惨さや菜穂子との別れのシーンは、あえて描かず、監督の優しさが滲み出ます。
 エンディングロールが終わるまで、席を立つ観客がいませんでした。淡々とした中に深い感銘を与える珠玉の作品と思われます。