別居と離婚


日本の離婚に関する民法の規定をみると、別居それ自体は離婚原因としては規定されていません。
しかし、離婚に関する裁判例を検討すると、そこには大きな変遷があります。それは、有責主義から破綻主義への大きな流れです。かつて離婚の可否を決するポイントとしては配偶者に有責性がどの程度あるかが重視されました。それが、最近では夫婦関係がどの程度破綻しているか否かが重要なポイントととなっています。
そして、この破綻認定の大きな要素として別居が取り上げられています。つまり、夫婦の間に夫婦としての実体が如何にあたのか、又は、それが形骸化していたものにすぎないのかが重要な要素となっています。
そうすると、夫婦の有責任よりも夫婦関係の実体を重視すると別居という客観的事実の立証がポイントとなってきます。
私達が離婚事件の弁護をしていると、この別居に関して一方の配偶者の不貞が関連してくると、ここはかなり厄介な状況となってきます。つまり、有責配偶者からの離婚請求は認められないという最高裁判所判例との関係が問題となってきます。
そうすると、別居の期間や夫婦関係の破綻の程度、夫婦間の子の状況、さらに不貞の開始時期等を総合的に考慮して、離婚の可否を決すべきこととなるでしょう。