「5年以上の別居で離婚」−民法改正案


法務省が公表した民法改正案において、離婚原因として「5年以上の継続した別居」を追加するとの案が盛り込まれています。
日本の離婚制度においては、有責主義から破綻主義への移行が判例上明確に示されつつあります。つまり、従来は不貞や暴力等の有責事由が離婚の原因とされていました。これに対して別居等を原因として夫婦関係が客観的に破綻していると認められるときは離婚を認めようとする破綻主義が判例の主流となりつつあります。
欧米の離婚制度をみても、別居を離婚原因としているものもあります。
ただ、個々の事案をみていると、5年以上の別居で離婚を認めることには躊躇を感じざるをえない事案も少なからずあります。例えば、夫婦間に年少の子がおり、その子が父母の離婚に反対しているとき、一方的に別居の事実を作り出した当事者が離婚を主張するとき、離婚により経済的苦境に追い込まれる当事者がいるとき等。
今後の家族法の改正とその実施状況には十分注意しなければならないでしょう。