事務局だより

 近頃めっきり涼しくなり、話題としてはすっかり季節外れになってしまいましたが…皆さんは“怖い話”はお好きですか?
 私は怖い話が大の苦手にもかかわらず、深夜にテレビで怖そうな映画を放映していて、音を消してまで観てしまった経験があります。
 以前読んだ本(著者は失念してしまいました)の中で、楳図かずおさんの、「理不尽な怖さこそが真の恐怖だ。」というような内容の発言を目にしたことがあります。この考えによれば、例えば四谷怪談伊右衛門は因果応報にすぎないということになるのでしょうか。(道理はあるわけですから…。)
 私には、小学生の時に読んで以来、あまりの怖さに以後一度も読んでいない本があります。宮沢賢治の「注文の多い料理店」です。物音一つない暗闇にいるような感覚と、得体の知れない何かに知らず知らず飲み込まれていくような恐怖を覚えて背筋がぞくっとしたのを憶えています。当時はその理由など考えもしませんでしたが、楳図さんの言葉をふまえて考えると妙に合点がいくような気もして、久しぶりに読んでみようかなと思…ったのですが、まだ勇気が出ません。(ひ)