武士の家計簿


 森田芳光監督、堺雅人主演の「武士の家計簿」を観ました。
 江戸末期の加賀藩を舞台に家計を建て直す下級武士の一生を描いています。
 大きなストーリー展開はなく、淡々と進んで行くのですが、それが却って我々の生活と重なり、リアリティーがあります。しかし、そのささやかな日常の中には家族の大切な行事や、「生」・「死」も存在しています。家計簿という、日常の中にある数字が、彼らの生活のみならず、心情さえも映し出しているというのは大変興味深いことです。
 かつて、テレビで学者らしき方がこのようなことを言っていました。「歴史上誰もが知る大事件を伝える文献は数多くあるが、日常の事柄は当たり前すぎて記す人は非常に少ない。しかしその当時の当たり前の事こそが、後に生きる我々が知りたい歴史の大きな部分である」・・・そんな言葉を思い出した作品でした。