いまを生きる力

 知人に誘われて、作家の五木寛之氏の講演を聴く機会がありました。
 導入の軽い笑いを誘うトークから始まり、ゆったりとした話しのリズムの中から、今の「うつの時代」、そしてこれをどう生きるかについて、まるで言葉の魔術師のような氏の語りに引き込まれていきます。
 氏は、今を「うつの時代」と表現し、坂の上の雲を求めて坂を登っても、つかむことのできない雲に、永遠に実現しない夢を重ねます。
 そして、うつが実は自然なことであり、仏教の慈悲の心への言及も印象的です。
 後半、氏は大学時代を過ごした金沢の雪つりの話しをし、折れない心、萎える心は折れない、との言葉で話しを締めくくられました。
 帰り道、ふと氏の言葉を思い、どこか勇気づけられるとともに、郷土の北陸の豪雪に思いをめぐらせました。